歴代首相の言語力を診断する 東照二著 研究社
著者 東照二
出版社 研究社
定価 1,470円
東條英機から小泉純一郎まで、戦中・戦後の歴代首相の国会での演説や答弁を徹底調査。「命令の東條英機」、「『~いたしました』の田中角栄」、「『~いたします』の小渕恵三」、「『考えます』の竹下登」、「『~です』の小泉純一郎」など、それぞれの話し方の特徴や時代による変化をデータをもとに鮮やかに分析し、政治とことばの関係にあらたな光を当てる。
目次
第一章 ことばの力と政治
・ことばの宿命
猪突猛進?/お守り的使用/ブッシュ対ゴア
・二つの機能――相手を動かす
浅沼稲次郎への追悼演説/ブッシュ大統領の9・11テレビ演説/自由と民主主義への戦争
・日本の言語土壌とは?
日米の選挙運動/「暗黙の了解」と「雄弁さ」
・三人の政治家
第二章 歴代首相の所信表明演説
・どれくらい長いのか
短い演説のトップと長い演説のトップは?/どれくらい長く話すのか――一文の長さ/文節とは?/小泉純一郎は東條英機か?
・「~こと」って何?
ソト化、抽象化/使用頻度はどうか?/最も頻繁に使った首相は?
・文末表現に注目
戦中内閣と「~あります」/「~ございます」はよく使われるのか/低姿勢を表す「おります」、「思います」/単純明快な「~です」と小泉純一郎/小泉純一郎の特徴第二弾「~します」/「いたします」と人柄の小渕恵三/「考えます」と竹下登/実行の首相――田中角栄/元祖「まいります」首相は?
・自分の名前を内閣名に入れる?
・よく使われるキーワードは?
・所信表明演説から見えてくるもの
・二つの概念――「力」と「連帯」
第三章 歴代首相の国会答弁
・一文の短さのトップは?
・「~こと」の使用率トップは東條英機
・文末表現に注目
「~あります」の運命――戦中と戦後/「~ございます」は池田勇人から始まった/小泉純一郎も使う「おります」/「思います」は小泉語?
・答弁なのに質問する?
・国会答弁から見えてくるもの
第四章 東條、田中、そして小泉
・東條英機――力のステージ
空虚な精神論/命令と陳述
・田中角栄――力の差にもとづいた連帯のステージ
方言とコード・スイッチング/スピーチ・スタイルのスイッチ
・小泉純一郎-――力の差にもとづかない連帯のステージ
短く、自然に/コード・スイッチング/個人の主張/聞き手を引き込む/プライベートな話をする/分かりやすい、身近な例/浪花節とオペラ
第五章 ことばのダイナミズム
・政治家の話し方は、変わってきている
・控えめは逆効果
政治家は偉くない――力の差の否定/「~させていただきます」は人気がある/弱々しさは効果的か
・日本の首相は強いのか?
・個人の顔が見えない
首相と大統領の演説/大統領は記者の名前を全員おぼえている?/中曽根康弘とウチ
・人気イコール大衆迎合か?
マジックナンバー・セブン/チョムスキーからの警鐘
・成功する政治家のことば