ウィトゲンシュタインにおける言語・論理・世界 野村恭史 著 ナカニシヤ出版
著者 野村恭史
出版社 ナカニシヤ出版
定価 5040円(税込み)
「はじめに」より
言語は世界を映し出す鏡だが、われわれが唯一もっている鏡としての日常言語は少々汚れているので、「世界を正しく見る」にはこの日常言語を磨くしかない。せんじつめれば、これが『論考』の基本仮定である。こうして日常言語の分析が『論考』の方法論となる。日常言語の「完全な分析」の結果として得られると仮定されている言語(これを以下「言語LW」とよぶ)の姿をつうじて、われわれは「世界を正しく見る」ことになる。
目 次
第一章 プレ『論考』期のウィトゲンシュタイン
1 フレーゲの遺産
2 ラッセルとの格闘
第二章 像と形式
1 諸形式の分節化
2 像の意識と真偽
3 像の一般理論の全体像
第三章 言語LWの構文論
1 原初記号
2 要素命題の構成規則
3 命題一般の構成規則
第四章 言語LWの意味論
1 言語LWxの構文論
2 名と要素命題の意味論
3 論理空間の意味論
4 確率の意味論
第五章 『論考』の世界観
1 「単純な対象」の形而上学
2 言語分析の認識論
3 形而上学的実態に基づく現象主義的世界
4 「世界の限界」としての「私」
第六章 論理形式について
1 像理論の根抵「論理形式の共有」テーゼ
2 「論理形式の共有」テーゼ その二つの帰結
第七章 『論考』の体系の崩壊
1 「現象学」という理念
2 『論考』の体系の崩壊
3 あらたな胎動