日本初の英和辞典、原稿発見=オランダ語から英語へ-群馬の古書店
幕末のペリー提督による黒船来航を受け、日本で初めて刊行された英和辞典の原稿がこのほど、群馬県高崎市で見つかった。日本の外国語学習の中心はそれまでオランダ語で、学習対象が英語へと急激に変わる過渡期を知るための一級の資料として英学史学会(会長・茂住実男拓殖大教授)が注目している。
発見したのは同市の古書店経営、名雲純一氏(44)。束ねた古紙として古書市場に出品されていた中に、1862年に日本で初めて印刷された英和辞典「英和対訳袖珍(しゅうちん)辞書」の原稿21枚が混在していた。
原稿は、幕末に幕府が設立した洋書の翻訳などを行う研究調査機関「蕃書調所」の紙に書かれている。英蘭辞典を基に英単語を拾い、訳語のオランダ語を日本語に訳し直す形で作業が進められたとみられる。「Disallowable」に「許サレス」などとカタカナで訳が書かれ、赤字で盛んに校正を進めた様子が分かる。
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初の英和辞書の草稿発見 幕末の通訳らが編さん
1862(文久2)年に幕府の命で編さんされた日本初の本格的な英和辞書「英和対訳袖珍(しゅうちん)辞書」の草稿や校正原稿が、古書市で発見されたことが15日、分かった。これまで存在が知られておらず、幕末のペリー来航時に通詞(通訳)を務めた堀達之助や英学者らによって日本の英和辞書が成立する過程を解明する貴重な資料となりそうだ。
群馬県高崎市の古書店「名雲書店」の名雲純一さんが今年に入って古書市で売りに出されていたのを見つけ、堀の子孫で日本英学史学会の堀孝彦・名古屋学院大名誉教授らが内容などから本物と確認した。
手書き原稿約20枚は、和紙の左側に横書きの英語、その右側に意味が対応する日本語が縦書きで書かれていた。朱で校正され、「森」など担当者とみられる名前が記されている。
堀名誉教授によると、英語の「Cassock」の訳は草稿段階では「僧ノ上着ノ名」だったが、初版では「ケサ(袈裟)」となっており、訳語を検討した過程が初めて明らかになった。
(共同)
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