少数言語としての手話 斉藤くるみ著 東京大学出版会
著者 斉藤くるみ
出版者 東京大学出版会
定価 2940円(税込み)
内容紹介
手話とは何か? ろう文化とはどういうものか? 独自の言語の構造をもち,世界各地で受け継がれてきた手話.その豊富なバリエーションから,手話が生み出す芸術,手話と脳の働きの関係までを幅広く解説.日本,さらに他国における多様な実像を描き,その存続の行方について考える.
担当編集者から
イギリスの手話とアメリカの手話はちがう,大阪弁と東京弁の手話がある,同性愛者たちの手話がある,手話の俳句がある,手話を用いた演劇やミュージカルがある……。映画やテレビドラマでしばしばろう者が登場しますが,その言葉や文化はあまり知られていないようです.どの地域にも暮らし,身近な存在であるはずのろう者の世界.この本ではその実像を詳しく描いています.言語やマイノリティについて考えるうえで示唆に富む1冊.
主要目次
第1章 手話からわかった人間の言語能力
1 手話を生み出す脳
2 手話記号と非手話記号
3 ろう児の言語発達と人間のコミュニケーション能力
第2章 マジョリティー言語に囲まれる手話
1 手話とろう文化の継承
2 手話と音声言語の関係
3 少数言語者・母語話者としてのろう者
第3章 手話のバリエーション
1 手話のバリエーションと手話者のサブグループ
2 ろう者の連帯と国際手話
3 盲ろう者の触手話
第4章 手話と芸術
1 言語芸術としての手話
2 視覚芸術としての手話
3 少数言語の芸術――モーダリティーの変換と新たな芸術
第5章 教育の中の手話とろう文化の未来
1 ろう教育の歴史
2 バイリンガル・バイカルチュラルろう教育
3 人工内耳の出現と手話の存続