中国の蝉は何と鳴く?言葉の先生、北京へゆく 山口仲美
日本漫画の「シーン」の音に中国人は呆然。片や、「老婆」は愛の呼称と知って日本人は唖然--古典文学・擬音語(ワンワン、ポチャン)学者の山口仲美先生による、痛快にして、ちょっと知的な中国滞在記。北京日本学研究センターで、日本文学・日本語学を講義する中で生じた、両国の言葉や文学をめぐる驚きの数々。源氏物語の濡れ場シーンへの中国人学生の反応はいかに? 草野心平の擬音語詩(げぶららららら~)をかの国の人々は何と聞いたのか? 言葉の問題を中心に、彼我の文化差を軽妙な連作エッセイにまとめました。加えて、日常生活で遭遇した中国人の理不尽さへの、自称「波風立て女」の怒りのシーンも読み所。さらに心温まる交流のエピソードも。
目次
はじめに
1 日中の言葉を訪ねて
「老婆」は愛の言葉
中国の蝉は何と鳴く?
朧月夜の匂い
古武士の花とは
徹底した通訳の授業
浮気談義
頑固か個性か
掛け橋
2 日常会話の愉しみ
言い間違いの妙
「鼻水」に助けられ
出物腫れ物
和尚さんの靴下
3 中国人が日本古典を読めば
思わぬ反応
情交はあったのか?
若き源氏物語研究者
ちはやぶる神代も聞かず…
4 駆け引きの国にて
無言の世界
値引きの術
交渉の達人
消えた十元
化ける季節
万事大丈夫の国
波風立てて地固まる
三角形は四角です
5 人々の想いにふれる
浦島太郎な人
サボテンの心境
ほくほく
蛍雪の人
柳絮が舞う
赤いネックレス
温かい手
再見
あとがき