西夏文字の世界 日時 2006年10月28日(土)14時~16時
講師 西田龍雄(京都大学名誉教授・日本学士院会員)
講演要旨 人類は三つの世界に生きている。現実の世界と言葉の世界、そして一部の文明人には文字の世界がある。日本人は古来漢字という表意文字とそれを改変した仮名文字の世界に生きて来た。 11世紀から13世紀に至るまで(1032-1227)今の中国西北地域、寧夏回族自治区、内蒙古自治区と甘粛省にまたがるいわゆるシルクロード東端の要処に存続した西夏国は、漢字文化圏の内部で漢字に対抗する独自の新しい文字世界を創り上げていた。西夏文字は外見は漢字と酷似した字形をもつ擬似漢字の一つであったが、内面には漢字よりも一段とすぐれた組織を具えた表意文字であった。まさに表意文字の一大革命であった。 解明できたその組織の一端を西夏国が伝える多元文化の紹介と進展しつつある西夏学の現状を背景に具体的な例を解説しながら、この神秘とも言い得る文字世界にご案内したい。
会場 国際高等研究所 レクチャーホール
○高校生以上
○聴講:無料
講師略歴
学位:文学博士
経歴:京都大学文学部助教授(1958)
京都大学文学部教授(1972)
京都大学名誉教授(1992)
日本学士院会員(1999)
専門:西夏学、言語学、文字学、漢蔵語研究
著書:『西夏語の研究』Ⅰ、Ⅱ 座右宝刊行会、1964,66
『西夏文字~その解読のプロセス』紀伊国屋書店、1967,94
『西夏王国の言語と文化』岩波書店、1997
『東アジア諸言語の研究Ⅰ~巨大言語群シナ・チベット語族の展望』、 京都大学学術出版会、2000
問合せ先国際高等研究所
〒619-0225 京都府相楽郡木津町木津川台9-3
電話:0774-73-4001(日・月・祝休)
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