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2007年 03月 02日
ソシュールの最大の後継者 イェルムスレウ セミル・バディル 著 町田健 訳 大修館書店
著者 セミル・バディル 訳者 町田健 出版社 大修館書店 定価 2415円(,税込み) 「言理学」を打ち立てたイェルムスレウこそ、ソシュールが描いた現代言語学の設計図を具体化し、言語学を独立した科学として確立させた注目すべき言語学者である。彼のプロダクティブな挑戦は、新たなアイディアや用語を生み出した反面、その理解には困難を極めていた。今ここに、ようやくその全貌が明かされる。 ・・・<中略>・・・ イェルムスレウは、自然科学と同様に、観察されるデータという誰もがその存在を疑うことのできない確実な実体を基礎として、言語の性質を明らかにすべきだと主張したのであり、分析の手段が論理に依拠するだけに、その結論にも十分な信頼性を置くことができる。 観察される具体的言語データから論理に従って言語の性質を抽出する分析方法をとるのであれば、必然的に言語の総体を対象とする分析となる。ソシュールは、言語使用者に共通する規則の集合体としての「ラング」と、具体的な状況でのラングの実現としての「パロール」を区別して、前者のみを言語研究の対象とした。イェルムスレウもこの区別を否定するものではないが、ラングとパロールの境界が本質的に不分明である以上、ラングの範囲を最大限に拡大することにより、言語に関して解明できない部分はこれに比例して極小となる。イェルムスレウが目指した言語学はまさにこれであり、言語分析が完全であることは、パロールの部分を解消することに他ならない。 イェルムスレウの言理学はこのように、ソシュールが基礎を与えた構造主義の言語学をより厳密にそして包括的に発展させる優れた言語理論である。その表面的な難解さゆえに細部を知られることのなかったイェルムスレウの思考が、本書によって日本の読者にも正しく理解されるようになるものと期待している。(「訳者まえがき」より) 主要目次: 訳者まえがき 序 章 A 知られざる著作 B 隠れた師 C 言理学の現在 第1章 記号の階層 A 言語分析の二重の限界 B 経験主義の原則 C 記号と非記号 記号と二重分節コード D 外示記号と非外示記号 外示分析 E 共示記号 第1の仮説 第2の仮説、第1段階:転移 第2の仮説 第2段階:凝集 F 共示記号の体系 第2章 記号の変異性 A 図式と使用 B 範列変項 表現面の範列変項 内容面の範列変項 C 変異体と共示記号 第3章 共示体 A 共示分析の例 1 地域語の範疇に関わる共示体に結びついた表現の変異体 2 地域語の範疇に関わる共示体に結びついた表現の純変異体 3 地域語の範疇に関わる共示体に結びついた内容の変異体 4 地域語の範疇に関わる共示体に結びついた内容の純変異体 5 個人的特徴の範疇に関わる共示体に結びついた表現の変異体 6 個人的特徴の範疇に関わる共示体と結びついた表現の純変異体 7 個人的特徴の範疇に関わる共示体と結びついた内容の変異体 8 個人的特徴の範疇に関わる共示体と結びついた内容の純変異体 B 日常的な共示 C 共示記号に関する結論 第4章 認識論的概念 A 操作的定義と形式的定義 B 表現と内容 C 意味作用 D 形式、実質、質料 E 表示と実現 F 科学性の程度 第5章 論理と記号 A 「メタ言説」のアポリア B メタ記号と論理学のメタ言語との比較 メタ記号と共通のメタ言語 C 科学性の基準 非科学的な記号としての共示記号 科学的な記号としてのメタ記号 記号分析の分極化 分析と記述 第6章 メタ記号 A 自律性 自律素と記号機能 B メタ記号 C メタメタ記号 メタメタ記号に特化されない形式 メタメタ記号に特化された形式 (a)純変異体の分析 (b)類の分析 実質の分析 D 対象記号としての共示記号 第7章 言理学受容の歴史 A 記号学における共示とメタ言語 共示 メタ言語 B 共示とメタ言語の図式の検討 記号の2区分と3区分 面と単位 共示に関する疑問 問題となるメタ言説 暫定的な定義と形式的な定義 終 章 A 言語学のために ◎一般的説明 ◎個別的説明 B 一般的な学問分類のために 注 年譜 用語解説 文献目録 索引
by ishilinguist
| 2007-03-02 22:50
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